りすぺくつしたい

歴史とか自分のルーツとか。ちょっと考えてみたい、少し阿呆な奴が生息しておりまする。

高知と佐賀の食卓話。其の壱(改題)

食事時の団欒が絶えてどれ位になるだろう。
昔はもっとわいわい賑やかだった気がする。
さわち料理を盛りに持った婆さまが笑ってたの、何時だっけ。


何時から婆さまは笑うのをやめちゃったんだっけ。


『信長のシェフ』2巻第14話を読み返すと、思うことがある。


西村ミツル氏&梶川卓郎氏の日本のお話。とても面白い。
この方々が綴る戦国時代において、初めてバイキング料理を食されたのは、信長公とその家臣。
それをもたらしたのは、謎の未来人『ケン』。


彼はバイキング料理のアイデアひとつで信長公の面子を保ち、なんと後の豊臣秀吉の首まで救ってしまう。


転生物、異世界ファンタジーでまだまだ盛り上がるラノベ界。
だけれども、骨太な漫画家さん達だって、アチコチで頑張っていらっしゃる様子。


そして、思う。
土佐のさわち料理だって、バイキングなんだぜー?
って。


大皿に盛ってある分から、好きなだけとる。
酒が呑みたいなら呑みたい奴だけ頂いて、めいめいが愉快に騒ぐ。
誤解されがちだけれど、下戸にはわざわざすすめない。


好きでもない奴に分ける酒が勿体無いし。
好きでもない癖に杯をとって被害者面する奴と同席する趣味も暇も無い。


あの慕わしい賑わいを、僕は何処に置いてきてしまったのだろう。


今ではうっかり食事時に漫画の話すら出来なくなってしまった。


土佐では「まんがこうしえん」なんて町おこしをやってるんだぞ。


高知がアンパンマンのやなせたかし氏を始め、多くの漫画家を輩出しているのだ、と、在りし日の爺さまはよく話してくれていた。


成績も伸びないくせに、閉じ篭って何時も何か紙媒体を抱えていた、外れものの孫。
爺さまなりに、構ってくれていたのだろう。
うちの親父さまも、そんな時は手塚治虫氏の作品なんかをポツポツしてくれた。


爺さまが亡くなられて、僕が漫画の話を食卓で出来なくなったとき。
やっぱり水の話だった。



尾田栄一郎氏の力作、ワンピース(one piece)。
世界的に有名なこの作品。


海賊を描いた、海が舞台の漫画という認識が薄い方、今の日本人でどれだけいらっしゃるんだろう。


第一話は思いっきり逃したけれど、鉛筆の下描きから起こした筆遣いに毎週ドキドキしたんだよな。
海水をサックリ真水に換えちゃったりとか、
海のど真ん中で迷子になる未来の大剣豪とか、
船に積んだらそれっきり、現地調達がとんでもなくスキルを要する食料。
その有り難味を丸無視して、毎回毎回あるだけ食い尽くしちゃう船長とか。


堀江謙一さんの『太平洋ひとりぼっち』を夢中で読んだ世代なら
ぶっちゃければ失笑しちゃうような内容なんだけど。


このCG大流行だったご時勢(今では他の雑誌なんかでアナログも見直されているようだけど)。


手描きで勝負していた漫画家さん。しかも週間連載。
職人気質というか、プロのこだわりというか。好ましいと思っていた。
ただちょっと、最近の彼の作品について、不満があったというか。


ただ、ね。


鯨が出てきちゃったのだ。
しかも、何だかこの漫画では。


捕鯨って、何でだか悪事ッポイ。


島国で、しかも殆どが山地な何処かの国なら。
頑張って皆で知恵と力を合わせ一頭仕留めさえすれば、あとは肉も脂も皮も骨も、ヒゲですら。
全部が遣える、無駄なく遣わせて頂ける、ありがたい、ありがた~い、資源。


・・けれど、決して高級ではなかった、それ。


特に貧乏人の食い物であった、鯨肉。


僕は鯨肉が給食であった、最後の方の世代らしいけど。
あの、固くって、それでも先生に怒られながら、無理矢理噛んで飲み下した、アレ。
嫌ぁな食感の喉越しに続いて、変~な臭いが鼻を上がってきた、アレ。


喜んで喰ってた奴。
毎日おんなじジャージばっか着てるよーな・・貧乏男子だけだったよなぁ。
少なくとも、本気で貧乏だったかはともかく。
こっそり残ったあの物体に、群がるオンナノコは、少なくとも。
僕の周りには居なかったように記憶している。


寧ろ、運悪く給食当番なんかになっちゃって、芋ジャー男子の群れに取り囲まれて


「配膳室へ返す前に、寄こせ」


と群がられて半泣きになっていたような。


だって、男子の勢力関係読み違えて誰かに多く渡したり、あるいはその逆をやっちゃったりなんかしたら。


お友達の隣を離れない方が賢明な午後を過ごす羽目になるもん。


正体を隠している何処かの国のお姫様が、捕鯨なんて「悪事」をやめて改心する。
海賊の仲間にしてもらって、亡国の憂いを取り除く。


食材としても加工資源としても、二級三級の代用品扱いだったらしい、安価な鯨。



その鯨漁を、やんごとなき御方が悪党面でやらかそうとする辺り。
一体どういう意図でプロットを組まれていたのだろう。


そして、優しい皆に助けられる運命の鯨くん。



身体ん中、鉄板で覆いまくられてネジだかなんだかでビシバシ留められて「治療され」てたみたいけど・・



これ、何処から何処までを笑うところなの???




ネフェルタリ王家。
お袋さまが好きな考古学者が研究費用を稼ぐ為に
講演をあっちゃこっちゃでやっては自分の著書を一生懸命手売りしている
あの国がモチーフだったりする。


お袋さまは、好き過ぎてあの国にまで旦那を引き連れて
ツアー旅行に飛び込んじゃう位なんだけど。



土佐出身の彼女に、この話・・・出来んわな(汗)



そんなこんなで、僕の親父さまとお袋さまの食卓で。
僕が推し漫画話を出来る日は現在も・・あんまり、無い。

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